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【ATMO JP 2021】Embraco、R290の優位性示す【技術ケーススタディ】

2021年2月15日、オンラインにて開催されたshecco Japan主催の自然冷媒国際会議「ATMOsphere Japan 2021」。『アクセレレート・ジャパン』のパートナーの一員でもあるEmbracoは、自社ソリューションを納入した株式会社ダイレイのケーススタディを紹介。R290が他のフロン類よりも、大きな優位性を持つことを明示した。

HFC、HFOと比較した炭化水素の「優位性」

炭化水素対応の高効率コンプレッサーを提供するEmbraco。同社は炭化水素をHFC、HFOを比較して、もっとも費用効果の高いソリューションと位置づけている。その理由として挙げられるのが、コストと運転条件の2点だ。

 

既存のシステムとして浸透しているHFCだが、欧州では各種規制により供給が制限され、冷媒価格が高騰している。またHFOも市場からの限定的需要により、コストインパクトを発揮できず価格は高止まりしているのが現状だ。その点、炭化水素は安定供給が望めるため、将来を見越してのコスト低減に大きく寄与するのである。

 

運転条件の面では、同様にHFCとA2L冷媒3種、そしてR290とで、-10〜45℃、-20〜45℃、-30〜45℃の3温度帯にて効率を比較。運転効率・運転温度双方においても、R290は非常に優れた数値を残した。この点からも、R290は総保有コストでもっとも優れた選択肢であり、運転温度を低く抑えることでコンプレッサー自体の延命にもつながると証明した。

 

さらに追い風となったのは、IEC(国際電気標準会議)で策定された150g→500gへの充填量引き上げである。従来でもほとんどの小型業務用アプリケーションをカバーできていたが、引き上げにより業務用製氷機、業務用リーチイン、業務用冷蔵庫など大型アプリケーションにも炭化水素が対応できる。

 

日本ではまだ、炭化水素に対して安全性への不安が払拭されていません。しかし世界を見渡すと、炭化水素は冷媒として採用されて20年以上の歴史があります。日本でも運用ガイドラインが策定されれば、一気に市場へ浸透していくことでしょう。
Embraco 中野 徹氏
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低充填かつ高効率のシステムを提案

エネルギー効率の高さ、省エネへの貢献度、温度変化低減といったエンドユーザー要件を踏まえ、R404aと同等以上の性能を持つ製品を世に送り出してきたEmbraco。そのひとつとして、同社は株式会社ダイレイのフードストッカーの実例をケーススタディとして取り上げた。

 

ダイレイのフードストッカー「D-386」はキャビネット温度が-35℃で、365Lの容量を持つ。多くは焼肉チェーンなど飲食店のバックヤードに設置されているこの商品について、ダイレイはサイズを維持したままR404aからR290へと更新。その結果、消費電力は290/292Wから238/261Wに低減され、冷媒充填量も210gから85gへ大幅に減少した。

 

その性能だが、EmbcaroのR290定速コンプレッサー「NEU2140U」とR404aとを比較した場合、消費電力が18%削減された。また設定温度に到達する時間は15%アップ、さらにストッカー中央部の温度は-3.4℃低下するなど、少ない充填量でより優れた性能を発揮していることがうかがえる。

 

加えて、同社の高効率インバータータイプのコンプレッサー「FMFT411U」で運用した場合、消費電力は「NEU2140U」からさらに-17%削減できると中野氏は説明。定速・可変速・コンデンシングユニットと炭化水素の幅広い製品ラインナップを抱えるEmbracoだが、今後も高い省エネ性による商品提案をしつつ、自然冷媒対応型の製品展開を図っていきたい考えだ。

参考

【ATMOsphere Japan 2021】Embraco発表資料