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国と都がそれぞれに進める自然冷媒促進の動き【ATMOsphere Japan 2020 レポート Part1】

2019年1月1日、モントリオール議定書キガリ改正が発効されてから、約1年が経過した。きたる目標達成に向け、国内ではノンフロン製品導入の促進を進める他、フロン機器の廃棄に関する規制強化に努めてきた。東京都が同機器に対する補助金の交付を始めたことも、記憶に新しい。政策動向セッションでは、そうした行政による法整備や、国際的な注目を浴びる炭化水素の充填量引き上げについて、最新動向が発表された。

入り口・出口両面での対策強化

続いて登壇した経済産業省製造産業局 化学物質管理課 オゾン層保護等推進室 課長補佐(国際担当)の下京田 孝氏は、国内を中心としたフロン類対策の動向を報告した。日本のフロン対策は、大きな2つの柱が支えている。1つがオゾン層保護法、もう1つがフロン排出抑制法である。機器全体のライフサイクルで言えば、オゾン層保護法が上流を、フロン排出抑制法が中流~下流をカバーする形である。

経済産業省製造産業局 化学物質管理課 オゾン層保護等推進室 課長補佐 下京田 孝氏

いずれもここ数年で法改正が進み、オゾン層保護法は2018年の改正で代替フロンを規制対象に追加、2019年1月1日に施行された。フロン排出抑制法も2019年に法改正され、2020年4月1日施行を迎えた。経済産業省は機器廃棄時のフロン回収率目標を、2020年50%、2030年70% に掲げる。しかし2018年実績は39%にとどまり、過去4年を見渡しても、同水準で推移している。

 

この現状を是正するため、改正内容には機器廃棄時や建物解体時に伴う機器廃棄において、ユーザーおよび解体業者等に関係書類の保存義務を設け、違反者には直接罰を導入するという体制に踏み切ったのである。現存するフロン機器の管理体制強化とともに、経済産業省は「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」の補助交付体制を維持。またトップランナー指定品も、対象製品を拡大し制度の推進を目指す。

東京都発の補助金制度で促進図りたい

東京都 環境局 環境改善部 環境保安課 課長代理(フロン対策担当)の金子 ちひろ氏からは、都が2019年12月に策定した「ゼロエミッション東京戦略」について、概要と進捗状況が発表された。2014年度における都内の代替フロン排出量は、約3,900万t-CO2であった。同戦略では、2030年に排出量を2014年度比で35% 削減、2050年には排出量ゼロを目指すとされている。

 

目標達成に向けた対策として、金子氏は大きく「機器廃棄時のフロン放出防止の徹底」「フロン講習会の開催」「ノンフロン機器等の導入促進」の3種類に取り組むと話した。そのうちの1つである「ノンフロン機器等の導入促進」は、2019年度に5,000万円の予算を設け、各事業者に導入補助を実施した。補助対象者は、中小事業者及び個人の事業者。省エネ型ノンフロン冷凍冷蔵ショーケースの導入に対して、1 台あたり500万円(1事業者あたり1,500万円まで)を限度と定めた。

 

2019年12月末時点で交付が決定したのは25台。金子氏は、2020年度も同額にて補助事業を継続することが決定していること。今後さらに、同制度に対する周知徹底を行なっていくと話した。

東京都 環境局 環境改善部 環境保安課 課長代理 金子 ちひろ氏