2022年11月15日、16日とブリュッセルで開催された「ATMOsphere (ATMO) Europe Summit 2022」にて、欧州委員会(EC)が新たに発表した報告書は、欧州のヒートポンプ市場を非欧州の競争相手に対して発展させる方法として、自然冷媒ヒートポンプの採用が必要だと主張。報告書では、自然冷媒を使用した機器は、「この分野が非EUの競合相手に対して差別化を図り、非EUのサプライヤーへの依存を減らすための機会となり得る」と結論付けている。
この報告書「欧州連合におけるヒートポンプ-技術開発、動向、バリューチェーン、市場に関する現状報告(can be an opportunity for the sector to differentiate itself with respect to non-EU competitors and to reduce dependence on non-EU suppliers.)」は、ECの科学・知識サービスである共同研究センター(JRC)によって起草されたもので、「EUにおけるヒートポンプ-技術開発、動向、バリューチェーン、市場に関する現状報告」は、ECの科学・知識サービスである共同研究センター(JRC)によって起草された。
同報告書に関する発表は、欧州委員会の一部門であるエネルギー総局の政策担当官、エリック・ルコント氏によって行われた。
報告書は、HFCの生産が市場を席巻している中国を中心とした、欧州外のフッ素系ガスに依存することのリスクも指摘している。EUのFガス規制の下で、より野心的にHFCを段階的に削減することは、EUが(合法的にも違法にも)輸入されたHFCへの依存を減らすことにもつながると、報告書は述べている。
自然冷媒への移行は、「市場機会であり、イノベーションのチャンス」となり得ると報告書は指摘。自然冷媒は価格動向や安定性の面でも有利であり、特許も取得されていないと付け加えた。特に炭化水素系ヒートポンプは、Ecoforest、HSK Lazar、NIBE、Panasonic、Viessmannなど、欧州企業による導入が進んでいる。
ECの報告書は、ヒートポンプ分野全体におけるEUの技術的リーダーシップも認めている。「欧州のメーカーは、空気-水、地下水、塩水ヒートポンプの各分野で技術リーダーである。欧州企業は、地中熱利用ヒートポンプと、商業用および地域冷暖房用の大型ヒートポンプで特に強い」と、報告書は付け加えている。また、報告書は、主に暖房用のヒートポンプに関する高価値発明の特許において、EUがリーダーシップを発揮しており、2017年から2019年の期間において、EUが48%を占めていることも指摘した。

この報告書は、JRCと研究革新(R&I)およびクリーンエネルギー技術観測所(CETO)によって行われたプロジェクトの一部である。CETOは、欧州におけるカーボンニュートラル社会への移行の複雑さと、多面的な問題に対処するために組織された。ATMOsphereは、利害関係者協議の過程で、エネルギー総局に情報を提供。このプロセスには、他にEHPA、EPEE、AREAなども関与している。
参考
ATMO Europe: European Commission Report Promotes Natural Refrigerants as Competitive Edge for EU Heat Pump Manufacturers
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。
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