2022年11月15日、16日とブリュッセルで開催された「ATMOsphere (ATMO) Europe Summit 2022」にて、デンマーク・ロエヴィク市に導入されたAdvansorのCO2ヒートポンプ「SteelXL 」を搭載した地域暖房システムが、エネルギー消費量を最大50%、二酸化炭素排出量を最大70%削減するという発表が行われた。同事例の発表は、このプロジェクトの設計と請負を行ったAktive Energi Anlæg(AEA)のセールスマネジャー、キャスパー・クリステンセン氏とマーティン・ソンダービー氏によって行われた。
Advansorのヒートポンプは、1.5MWの暖房能力を持ち、ロエヴィクの約244世帯に温水製造と空間暖房用の熱を供給する予定だ。以前は、ほとんどの住民がオイルバーナーや電気暖房を使用していたという。ガス暖房からCO2ヒートポンプに移行することで、消費者は暖房費を年間約2,000ユーロ(約291,000円)節約できると、クリステンセン氏は説明した。また、同氏はCO2地域暖房システムの採用により、毎年30万m3のガスを節約し、年間470トンのCO2の排出を回避することができると述べている。
「CO2ヒートポンプを選択することは経済的なメリットがあるだけでなく、持続可能で環境に優しいソリューションでもあります」(クリステンセン氏)
確実な効率化
このシステムはまだ試運転の段階だが、周囲温度2℃のときに3.1のCOPを発揮するように設計されている。最近の検査では、11℃で3.4のCOPを達成し、「目標通り」だとクリステンセン氏は言う。
このレベルの効率を確保するため、ヒートポンプには中温機6台と中間機6台の計12台のコンプレッサーに永久磁石モーターを採用し、8%の省エネを実現。高圧リフトエジェクターも搭載し、さらに5~10%のエネルギー消費量の削減を実現したという。ヒートポンプには、コントラクターやその他のサービスパートナーがシステムの保守やサービスを行いやすくするための、標準的なコントローラープラットフォームも付属している。
この地域暖房システムには、3台のEvapc製蒸発器が含まれているが、AEAは過去の経験や設置の柔軟性に基づき、AEAがその開発に参加したことからこの蒸発器を選択・使用してきたとソンダービー氏は説明する。
デンマークの地域暖房
「2030年までにCO2排出量を70%削減する」という国家目標を掲げるデンマークは、欧州の地域暖房をリードしていると、クリステンセン氏は言う。「私達は、暖かく過ごすために物を燃やすのをやめなければなりません。その解決策として、自然冷媒を使ったヒートポンプという選択肢があります」(クリステンセン氏)
この目標を達成するために、地域の暖房会社はできるだけ多くの家庭を、持続可能な暖房源に転換させる義務があるとソンダービー氏は説明する。実際に、ロエヴィクの住民は最新の家庭用ヒートポンプに変えるか、地域暖房システムに加入するかを選択することができた。このケースでは、244世帯が地域暖房を選択し、AEAは機械、配管、電気工事、今後5~10年間のメンテナンスとサービスを提供するプロジェクト契約者として選ばれた。
参考
ATMO Europe: Danish CO2 Based District Heating System Will Cut Consumer Energy Bills by 50%
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。
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