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【ATMO Europe Summit 2022】欧州委員会、自然冷媒選択を強く提言

2022年11月15日、16日とブリュッセルで開催された「ATMOsphere (ATMO) Europe Summit 2022」にて、欧州委員会(EC)気候行動総局のベンテ・トランホルム=シュワルツ副ユニット長は、EUのFガス規制の強化や、Fガスを対象としたPFAS化学物質のREACH(登録、評価、認可、化学物質の制限)規制の導入を視野に入れて、欧州で進むべき道は自然冷媒であると強く指摘しました。

 

欧州化学品庁(ECHA)は、特定のFガスとその大気中分解生成物の1つであるトリフルオロ酢酸(TFA)を含むPFASを、REACHの下で規制する提案を検討予定である。

 

「もしあなたが、新しい工場に投資する決断の前に立っていて、REACH調査が行われていることを知っているとしたら、そしてREACHが扱っている領域に入ることなく実際に生産しているものを生産できるならば、自ずと自然冷媒を選択するという選択に至るでしょう」とシュワルツ氏は語る。

 

EUのFガス規制とHFOの関連性について質問されたシュワルツ氏は、ECはGWP値に基づく提案において、「技術中立」的なアプローチを取っていると述べた。同氏は、化学構造と分解生成物から低GWPのFガスをターゲットに、ECHAが行っている作業について説明した。「規制案の作成は、REACHのもとで徹底した手順を踏まえて行われています。EUのFガス規制では、規定を強化し、HFOにも冷媒の漏えい・排出防止にも規定を拡大させる予定です」(シュワルツ氏)

Fガス規制と「REPowerEU」の整合性

ECは、現行のEU Fガス規制の先進性を高める提案を提出している。一方EUは、化石燃料からヒートポンプを含む電化への移行を加速させるため、「REPowerEU」プログラムを策定している。この点において、改正Fガス規制のもとでFガスの段階的削減を加速させることが、冷媒に依存するヒートポンプの急速な普及と整合するかどうか、議論が浮上している。

 

シュワルツ氏は、「我々の提案と『REPowerEU』プログラムは、トレードオフの関係にはありません。ECの提案だけでも、2050年までにベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、フランスの1年間の排出量と同量を削減できます」と説明した。

 

「ヒートポンプ用の自然冷媒の利用可能性については、すでに技術は存在します。問題は“いつやるのか”でしょう。HFCを使わず、必要とされるすべてのヒートポンプを提供するために、産業界がどれだけの時間を必要とするかが重要です、ECの提案を通じて、我々はメッセージを送り続けています。それにより、業界関係者の皆さんが最大限迅速に行動することを、つよく望みます」(シュワルツ氏)

参考

ATMO EUROPE: ‘Choose Natural Refrigerants if You Can,’ Says European Commission Representative
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。

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