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【ATMO EUROPE 2021】Konvekta社、2021年に1,000台のCO2ヒートポンプをEバスに導入予定

2021年9月28、29日にオンラインで開催された「ATMOsphere Europe Summit 2021(ATMO EUROPE 2021)」 にて登壇した、ドイツのKonvekta社。同社は2021年末までに、1,000台のCO2モバイルヒートポンプの導入を見込んでいると発表した。

航続距離の向上

「輸送・MAC」のセッションに参加したKonvekta社は、テクニカルアプリケーション部部長、ビョルン・カーン氏が登壇。CO2ヒートポンプ導入は、非常に順調かつエンドユーザーにも好評だと話す。

 

2022年末には最低1,800台、うまくいけば2,000台のCO2ヒートポンプを採用できるでしょう。

Konvekta社 テクニカルアプリケーション部 部長 ビョルン・カーン氏

e-バスに搭載されるCO2ヒートポンプの主な市場はドイツで、ベルリン(122台)やハンブルク(43台)などの都市が主要な顧客となる。

 

CO2ヒートポンプの導入は、オランダやルクセンブルグなども参入し始めているという。Konvekta社が提供するユニットの周囲温度範囲は、-20℃〜43℃だ。同社は従来のディーゼルバスにもヒートポンプを搭載おり、CO2ヒートポンプは暖房と冷房の切り替えが可能で、空気対空気回路と空気対水回路で構成されている。

 

Konvekta社の制御システムは複雑な設計で成り立っており、車両の周囲には12〜15個のセンサーが配置されている。これにより、温度制御が “非常に効率的 “に行われるとカーン氏は話す。またセンサーによってシステムが電力値を計算し、コンプレッサーの回転数を判断。一連の制御システムによって、常に最高のCOPが得られるよう最適化されているという。カーン氏は、制御システムこそ電気自動車の航続距離を改善する、非常に重要な要因のひとつであると指摘する。

 

今年2月にベルリンで行われたテストでは、Konvekta社のシステムを搭載したバスと、通常のACユニットと電気ヒーターを搭載したバスの2台の電気自動車を比較。その結果、Konvekta社のシステムを搭載したバスは暖房に0.38kWh/kmを使用したのに対し、従来のシステムを搭載したバスは0.9kWh/kmだったと。

 

航続距離の比較では、Konvektaのユニットを搭載したバスの1回の充電での航続距離は151kmだったのに対し、従来のバスの航続距離は114kmという違いも生まれた。この結果を受け、Konvekta社は今後さらなる効率化を目指していていきたいと話す。

プレコンディショニング実用化

Konvektaは、同社の大口顧客であるベルリン市とともにプレコンディショニングのシステム最適化も検討しているという。具体的にはバス会社が遠隔操作でシステム電源を入れ、一日の運行開始時間から終日、バス内を快適な環境に維持するシステムを指す。

 

「バス会社の皆さんは天気予報をモニターして『明日の朝は午前6時に運航開始するが、その時の天気は5℃だ』という情報をキャッチします。そうすると、逆算して 午前 4時30分にはプレコンディショニングを開始する必要があるでしょう。

 

その情報を踏まえ、バス会社はコントロールセンターからすべてのバスに信号を送り、すべてのバスが同時間帯にシステムを起動させるわけです。SFのように聞こえるシステムですが、私達は今後2年で、このシステムは実用化できると考えています」(カーン氏)

参考

ATMOsphere Europe: Konvekta to Install 1,000 CO2 Heat Pumps in E-Buses by End of 2021

原著者:マイケル・ギャリー

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