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【ATMO America Summit 2022】Arneg、TC CO2ユニットで韓国店舗の温室効果ガス排出量を67%削減

2022年6月28日に開催された「ATMOsphere APAC Summit 2022」にて、Arnegグループの一員であるArneg Koreaが、トランスクリティカル(TC)CO2コンデンシングユニットの設置により、韓国ソウルのコンビニエンスストアのGHG(温室効果ガス)排出量を67%削減することに成功したと発表した。

 

2021年に設置されたこのコンデンシングユニットは、R404Aの代替品と比較して、90m2の店舗の低温機器のエネルギー消費を25.4%、中温機器のエネルギー消費を16.2%削減しているという。このエネルギー使用量の削減とCO2冷媒の採用で、温室効果ガス排出量を3分の2に削減した。

 

講演に登壇した、Arneg Koreaの海外セールスマネージャーであるガブリエル・セルナーニ氏の発表によると、2021年12月時点で、Arnegは全世界で約1,700台のCO2ベースの冷凍機を導入。このうち10基が、韓国に設置されているという。

韓国における環境配慮型小売店舗の最新情報

韓国政府が2020年に発表した「国別排出削減目標(NDC)」では、2030年までに温室効果ガスを24%削減(その後40%に更新)する計画を詳述している。Arneg Koreaはそれを受け、韓国の大手コンビニエンスストアブランド「CU」より、同チェーンの「環境に優しい店舗」の開発支援を依頼された。そこで、ArnegはCUより省エネ型冷蔵庫、エコガス、CO2排出量の削減のアイディアを求められたという。

 

そこでArneg社は、低温・中温ともに冷却能力3.7kW、蒸発温度-10℃の2HP-4HPのTC CO2コンデンシングユニットでその声に答えた。同ユニットは、自然冷媒採用・消費エネルギー量削減・GHG排出量削減の他、設置の柔軟性や低騒音といった点でもCUに貢献。こうしたユニットを配した店舗は、韓国内には2店しかないとセルナーニ氏は説明した。

水素充電ステーション用のTC CO2をテスト中

Arneg Koreaは現在、韓国とアラブ首長国連邦(UAE)政府とのプロジェクトの一環として、水素充電ステーションでのTC CO2冷凍機の使用をテストしている。

 

「多くの機関や企業が、自動車やバス、トラックなどの交通機関で使用される化石燃料の代替となりうるものとして、水素に投資しています。水素を調合するプロセスには、水素をプラスの温度から-40℃に変化させるための冷却器が必要です」(セルナーニ氏)

 

従来、韓国では、R404Aベースのチラーシステムを使って行われているが、Arnegは燃料としての水素の使用によるGHG排出量の削減と、CO2の使用という「グリーンコンビネーション」を実現するために、CO2チラーを使用したいと提案。現在のテストに至ったという。

 

充電ステーションのチラーシステムは、中温と低温の両方に対応した複合コンプレッサーラック1台、ACインバーター、外部ガスクーラーを備えている。また、冷却能力を一定に保つために、ガスクーラーに水を噴霧する方式を採用している。これにCO2を使用することで、従来のR404Aシステムと比べて冷媒充填量を33%削減し、配管の改善により冷媒漏れを75%低減させることに成功した。結果、CO2システムはR404Aシステムに比べ、15%程度エネルギー効率が向上するとセルナーニ氏は説明する。

 

このプロジェクトは2年間のテスト段階の最中で、2023年末に終了する予定だ。2024年には、ArnegのTC CO2システムを使用した最初の水素充電ステーションが韓国に設置され、2025年からはUAEでこのシステムの複数の設置が予定されている。Arneg Koreaは、このシステムを半導体などの産業用途にどのように応用できないか検討中とのことだ。

参考

ATMO APAC: Arneg Transcritical CO2 Condensing Unit Cuts Emissions at South Korean Store by 67%
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。

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