米国ジョージア州に本社を置くホシザキアメリカは、業務用冷蔵庫・冷凍庫のラインアップをR290に移行することで、機器のエネルギー消費量を平均11%削減したと発表した。この発表は、「ATMOsphere(ATMO) America Summit 2022」の冷凍事例セッションにて、同社のエンジニアリングディレクター、デイビッド・セラーズ氏が発表したものである。
R290のメリットと課題解決
ATMOsphere主催の自然冷媒国際会議「ATMOsphere(ATMO) America Summit 2022」は、2022年6月7~8日にバージニア州アレクサンドリアで開催された。セラーズ氏はこの会議にて、R290への切り替えにより、外食産業で使用されるホシザキの冷凍機のCO2排出量が平均21%削減されたことも発表している。この削減効果は、GWPが1未満の冷媒による直接排出の削減と、エネルギー効率の向上による間接排出の削減によるものだと説明した。
セラーズは、米国で唯一のUL規格の炭化水素冷媒メーカーであるDiversified CPCの戦略・事業開発担当副社長、ジョン・ダウド氏とともに、この発表を行った。Diversified CPCは、ホシザキアメリカが冷蔵庫や冷凍庫に使用しているR290を製造している。ホシザキアメリカは自然冷媒への移行を開始するにあたり、いくつかの選択肢を検討したとセラーズは言う。
それぞれの冷媒には、システムコスト、性能、燃焼性、充填限界など、トレードオフの問題がありました。将来的に見て長期的なソリューションになると考え、R290という冷媒選択に注力することとしたのです
イホシザキアメリカ エンジニアリングディレクター デイビッド・セラーズ氏
R290は無害でGWPが低く、エネルギー効率が高いという環境面でのメリットに加え、メンテナンスが容易で機器の性能と信頼性を向上させることができる点が魅力的だったとセラーズ氏は言う。その上で、ホシザキにとって最大のハードルは「燃焼性の問題」にあった。
R290の燃焼性の問題を克服するために、ホシザキアメリカは社内はもちろん、地域の消防署員など外部のステークホルダーへの教育を優先させた。工場から設備、使用後の冷媒処理まで、サプライチェーン全体と法規制を視野に入れた教育・訓練が行われた。
「企業の意思決定者から機器を修理する技術者に至るまで、教育が重要です。私達は、製品の使用方法に関するすべてのレベルを通して、確実な教育・訓練を行いたいと考えています」(セラーズ氏)
ホシザキアメリカは、研修組織であるRSESと協力して、研修と認証を行っている。また同社は、R290に関する知識を深めそれが業務にどのような影響を及ぼすかを知るために、経験豊富で信頼できる欧州の姉妹会社に連絡を取り、パートナーシップを結んでいる。
サステナビリティへのコミットメント
ホシザキアメリカにとって、サステナビリティは優先事項であり、長期的な意思決定に重きを置いているとセラーズ氏は言う。「私達は、今日の要求を超えたところに目を向けたいと考えています。私達のこの選択が長期的に持続可能なものであり、同じことを繰り返さないようにしたかったのです」(セラーズ氏)
ホシザキアメリカの取り組みは、11年連続で米国環境保護庁の「エナジースターパートナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、食品サービス機器メーカーとして初めて、また唯一のISO14001認証を取得するなど、高く評価されている。「ホシザキは、このプロジェクトや他のプロジェクトで受賞した賞や認証を誇りに思います。なぜなら、環境への影響を測定し、改善するという我々の取り組みの証だからです」(セラーズ氏)
参考
ATMO America: R290 Found to Reduce Energy Consumption of Hoshizaki Refrigeration Equipment by 11%
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。
ATMOsphereネットワーク
今回ご紹介した記事・発表について詳細を知りたい方・意見交換したい方は、ぜひATMOsphereネットワークにご参加ください!クリーンクーリングと自然冷媒の分野で志を同じくするステークホルダーと交流しましょう。(ATMOsphereネットワーク)