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【ATMO America 2022】Hannaford、R290ケース設置5例目の店舗が誕生

米国を拠点とするスーパーマーケットチェーンのHannafordは、メイン州ブランズウィックの新店舗の冷凍コーナー全体にR290内蔵ショーケースを設置した。同発表は、2022年6月7日から8日にかけて開催された、ATMOsphere主催の国際会議「ATMOsphere (ATMO) America Summit 2022」のエンドユーザーセッションにて、Ahold Delhaize傘下の小売事業者HannafordとStop & Shopのメンテナンス担当ディレクター、ハリソン・ホーニング氏にて行われた。

 

ブランズウィックの新店舗に設置されたのは、冷凍食品とアイスクリームのR290ディスプレイケースだ。また、35%のプロピレン/グリコール混合物を含むウォーターループシステムで、冷凍庫ユニットから結露熱を除去している。排熱も、店舗屋上に運ばれて流体冷却装置で空気中に分散されるか、ループの分岐バルブを通って熱再生に利用されている。このシステム全体は、米国メーカーのHussmannが提供する「Micro DS」によるものだ。

 

2021年6月にオープンしたHannafordのブランズウィック店は、この冷凍食品冷凍アーキテクチャを採用した5店舗目となる。この事例は、店舗内の個々のユニットとしてではなく、店舗の大きな区画(あるいは店舗全体)でR290ケースを使用可能であることを実証したものと言えるだろう。

 

Hannafordは、今年後半に二つのプロジェクトで、初めて既存店舗に同様のソリューションを採用する予定である。

 

同社は2013年にメイン州ターナーの店舗で、米国で初めてトランスクリティカル(TC)CO2システムを導入したチェーン店でもある。CO2とR290のどちらを選ぶかという質問に対して、ホーニング氏は「どちらの冷媒にもメリットとデメリットがある」と回答する。

R290導入で得た知見

その上で、R290はコンデンシングユニットを一つ失っても温度を維持できるなど、システム冗長性への信頼という点で優れているとホーニング氏は指摘。セッションではR290導入におけるメリットを、「コスト」「信頼性」「持続可能性」「メンテナンスとトレーニング」という4点で説明した。

 

新店舗の場合、冷凍庫のデザインによっては、コストはラックシステムより同じか低くなるという。R290のケースは高価だがラックを必要としないため、小売業者はトータルコストを削減することが可能です。

 

加えて、ホーニング氏は「温室効果ガスの排出を削減する効果的な方法であれば、もっとお金をかけてもいいと考える小売業者もいる」と指摘する。2040年までに温室効果ガス排出量ゼロを目指す、Hannafordはまさにその該当事業者だ。

 

ホーニング氏よれば、R290のメリットで最も重要なのは信頼性であるという。初年度の故障率は7%以下であり、概ね問題ないと評価した。

 

持続可能性という点では、冷媒による環境問題は当然蒸しでき、排熱利用でガス暖房の利用頻度を減らせる。電力需要はやや増加するが、大きな問題となる数字ではないとホーニング氏は述べた。

 

欧州では、多くの店舗が冷凍ユニット、中温ユニット、コールドルームでR290採用を拡大している。米国では比較的まれだが、近年確実に、R290を選択する小売業者が増えてきている。その後押しとなっているのが、最近承認されたR290充填量引き上げの規制緩和であり、これがR290とCO2の競争を、さらに加速させるだろう。

参考

ATMO America: Hannaford Equips Fifth Store with R290 Cases for Frozen-Food Line-up
※本記事は英語で作成後、日本語に翻訳されております。

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