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EHPA、河川水を利用したアンモニアヒートポンププロジェクトを表彰

欧州ヒートポンプ協会(EHPA)は、スコットランドのグラスゴーにて実施された「河川由来のアンモニアを利用したヒートポンププロジェクト」での協力関係を評価し、スコットランドのウェストダンバートンシャー州議会、Vital Energi社、Star Renewable Energy社(Star Refrigeration社の一部門)を2021年の「City of the Year」賞に選出した。

地域暖房ネットワークを支える

EHPAが毎年開催している「Heat Pump Awards」は、ヨーロッパ全体で「最も効率的でスマート、かつ持続可能なヒートポンププロジェクト」を表彰するものであり、2011年より開始された。

 

ウェストダンバートンシャー州議会のインフラストラクチャー・再生・経済開発委員会の招集者であるイアン・マクラーレン議員は、「今回の受賞は非常に大きな成果であり、私たちが真に道を切り開いていることを示すもので、チームに大きな祝福を贈りたいと思います。このシステムはスコットランドで初めてのものであり、ウェストダンバートンシャーがこの天然資源を利用してエネルギーを供給し、ネットゼロ目標の達成に貢献するだけでなく、住民を支援し、燃料貧困の解消に貢献していることを誇りに思います。」と受賞の喜びを語った。

 

このプロジェクトは、グラスゴーの西に位置するクライドバンクのクイーンズキー開発地区の地域暖房ネットワークに、5.2MW(1,479TR)のアンモニア川熱源ヒートポンプを導入するものです。同社によると、このような目的のための大規模水熱源ヒートポンププロジェクトは、国内初とのことだ。

 

このシステムは、最大容量2.6MWの独立したヒートポンプ2台と、900kWの駆動モーター2台で構成されている。2021年4月に開催された冷凍学会(Institute of Refrigeration)にて、このプロジェクトについて語ったStar Refrigeration社のグループ・サステナブル開発ディレクターのデイヴ・ピアソン氏によると、このシステムのCOPは、全負荷時で最大3.34、2/3負荷時で最大3.07だという。

 

ヒートポンプは2.5kmの配管網で住宅や商業施設に接続し、80℃までの温水を生成。この地域暖房ネットワークには、地元の市役所、大学、1,000軒以上の住宅が含まれている。

 

水熱源ヒートポンプは、ヨーロッパ本土では数年前から使用されていますが。しかしこの計画は、英国初の大規模高温ヒートポンプの導入です。

 

そんな私達のプロジェクトが、低炭素地域暖房の実現に向けて先導的な役割を果たしていると評価されたことを、嬉しく思います。

 

このヒートポンプシステムであれば、イングランドだけで河川・運河から6GW以上の再生可能な熱を取り出すことができるとでしょう。また、ウェールズやスコットランドの長い海岸線は、海からさらに熱を取り出すヒートポンプの可能性を秘めています。

Star Refrigeration社 グループ・サステナブル開発ディレクター デイヴ・ピアソン氏

 

Star Refrigeration社は、再生可能エネルギーの活用だけでなく、エンドユーザーの省エネにも力を入れている。同社が提供するアプリでは、温度管理された倉庫のエネルギー性能を業界のベスト・プラクティス・ガイドラインと比較し、エネルギーとCO2eの削減量を予測することができる(無料アプリの詳細はこちら

参考

Ammonia Heat Pump Tapping River Water Wins EHPA Award

原著者:タイン・スタウスホルム

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