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来春オープンのイオンにて、CO2ショーケースが大量採用

環境省による令和2年度「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」一次公募の交付先として採択された、イオンリテール株式会社。過去出店店舗同様に、大量のCO2ショーケースが採用される。

埼玉県川口市にて、イオンモールが新規オープン

イオンリテールの開発本部建設部 店舗企画グループの片岡 潔氏によると、今回の公募に採択された店舗は、来春埼玉県川口市内にオープン予定の大型商業施設内のイオンモールに出店予定だという(店舗名は未定)。

 

農産・水産食品、冷凍食品、アイス等のエリアに、多段ショーケース、デュアルショーケース、リーチインショーケース、オープンショーケース等バリエーション豊富な自然冷媒対応のケースが並ぶ。全体の約80%を占めるこれらのショーケースは、いずれもイオングループが国内小売業で初めて自然冷媒を導入した時からのパートナーであり、イオンリテールとしては2013年オープンでCO2ショーケースを採用したイオンモール幕張新都心からのパートナーである、パナソニック株式会社製だ。

「幕張新都心では、100台以上ものショーケースを入れました。今回の新規店舗も、同規模の大量設置になる予定です」

イオンリテール株式会社 開発本部建設部 店舗企画グループ 片岡 潔氏

技術とコスト、両面での課題に期待を寄せる

イオンリテールは「イオン自然冷媒宣言」以来、約10年間にわたりCO2ショーケースの採用・設置に尽力してきた。自然冷媒対応のショーケースのラインナップに関しては、メーカー様側の中温帯(13〜18℃)用のショーケースの開発が進み、徐々にラインナップの拡充が進んでいると片岡氏は言う。

 

一方で、飲料を商品として陳列する腰高200mmのローデッキ型のオープンケースや、サラダ惣菜等を陳列する特殊対面ケースも、冷却器構造が特殊なため未だ製品として開発されていないのが実情である。このため、売場全体を100%CO2ショーケースとしてカバーするには、まだ技術開発面の課題は残る。

 

「冷凍機のラインナップも、HFCと比較すると限定的と言えるでしょう。HFC対応の冷凍機の関係からみると、馬力数のラインナップが少なく、HFCのような高馬力の機器が無いことが設置台数増加につながります。さらに系統数も増えることで、工事費の増加にもつながります」(片岡氏)

 

コスト面についても、約10年自然冷媒を積極的に採用してきた同社は、依然として難しい課題のままであると感じる。2022年度には「先進技術を利用した省エネ型自然冷媒機器の導入補助」事業がひとつの区切りを迎える。

 

徐々に自然冷媒の認知度がエンドユーザー間でも高まっている昨今、その流れを止めるわけにはいかない。「継続的な支援体制の維持」と、小売店舗の事業形態に合わせた「応募スケジュールの緩和」。この2つはイオンリテールにとってもこれから自然冷媒機器を設置・検討するエンドユーザーにとっても、本格的に検討すべき問題と言えるだろう。

 

参考記事

イオンリテールの新たな取り組みと10年の歩み